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旅
を表す英語にもいろいろあって、たとえば「tour(ツアー)」というのは、「計画に沿って複数の地を訪れる、制限が伴う旅」。それに対して「journey(ジャーニー)」は、「計画を立てない、必ずしも帰ってくることさえ意味しない無制限の旅」である――といった話を何かの本で読んだ。 日本と海外の RPG の特質を、ものすごく乱暴かつ大雑把に比べるとしたら、この 2 つの単語でそれぞれ象徴できるかもしれない。つまり、海外の RPG とはジャーニーであるということ。そして、その旅に出るのはキャラクターではなく、プレイヤーであるアナタ自身ということだ。 海外、とくに北米のゲームには、遊び手を操作キャラクターと同化させ、その世界に没入させようという非常に人気のスタイルがある。(向こうの)プレイヤーがより自分と重ねやすいように、実在感のある人物(無精ヒゲを生やした渋め等)が主人公になることも多いし、さらに突き詰めた形としては、「異様に充実したキャラクターメイキング」も珍しくなくなりつつある。 日本の一般的な RPG とは対照的に、海外の RPG では、プレイヤー自身が(自分の身の丈に近い)主人公キャラクターとなって世界に入り込むのが通例となっているようだ。 ちなみに筆者の知る限り、こういった主人公をはじめ、登場人物の造形、ビジュアル面への抵抗から、海外ゲームを敬遠しがちな人も少なくないと思う。もったいない話だが、これはもう、何を自然と感じるかといったお国柄の違いだし、見た目の好みというのは理屈ではないから、はっきり言ってどうしようもない。「洋画であれば、外国人が出演するのは当たり前……」くらいに割り切って、一度その敷居をまたいでみても損はないかも……と、筆者的にはやんわりと背中を押すことにしている(笑)。 「新鮮なおもしろさにハマっているうちに、いつの間にか人物等の絵柄は気にならなくなっていて……というか、むしろこの濃さがクセに(笑)」――といった極端なフレンドの好例も筆者にはあったりする。住めば都ではないが、もしかしたらほんの少しの慣れで、新しい世界に目覚めてしまう……かも?
さ
さて、海外ゲーム≒あらびき(な)ゲームの代名詞だったのは、いまはすっかり昔。以前の不親切さや理不尽さはどこへやら、現在では日本のゲームを脅かすほど、海外ゲームのクオリティーは日進月歩で上がっている。 なかでも昨今、海外の RPG やアドベンチャーゲームで専売特許のように話題に上るのが「自由度の高さ」という点だ。ちなみにこれは、対象年齢の高さと関係がある。海外の RPG やアドベンチャー、FPSなどは、それぞれの誕生以来ずっと、PC ゲームを主戦場としてきた。現在、Xbox 360 などの家庭用ゲーム機で最先端のゲームを生み出している海外の開発スタジオは、ほぼすべて PC 畑の出身である。 PC ユーザー向け=自然と対象年齢が高くなるということ。プラットフォームが変わっても、長年の伝統や作風、理想としてきた方向性は根強く、結果、いまでも海外 RPG の年齢制限は高めになりがち――といったわけだ。 よって、プレイヤーの行動は自己責任。本来、敵ではない相手を攻撃できたり、成長の進度とは無関係に先の場所まで進めたりと、ゲーム進行上の「安全装置」が少ない分、プレイヤーに課せられる制限も少なくなる。 しかも、昨今の「自由度の高い」 RPG などは、単に何でもできるというだけでなく、それぞれの行動がきちんとゲーム展開に反映されるのである。ある意味、世界に対して何かアクションを起こすことで、延々と自分だけのストーリーを紡いでいけるわけだから、これは楽しくないわけがない。 日本の RPG とは異なる歴史や流行のもとで作られる海外の RPG には、当然のごとく、「海外 RPG の文法」とでも呼ぶべきものがある。だから、日本の RPG で遊ぶときとは、どこか頭のスイッチを切り替えるつもりでプレイしてみるのもオススメだ。
などなど、独特の楽しみかたが無数に見えてくるはずである。 筆者などは海外 RPG をプレイしていると、ふと、「これはアドベンチャーとかシミュレーションと呼んでもいいのでは……」と感じることも多々ある。遊びかた次第でジャンルのイメージさえ変わってしまう懐の広さも、海外 RPG の魅力なのかもしれない。
さ
て、長々と海外 RPG の特徴やら魅力やらを述べてきたが、百読は一遊に如かず。初心者も熟練者も要チェックの海外発の新作 RPG 2タイトルについて、簡単に触れておきたい。前回同様、本サイト内の TGS レポートなどと併せて参考にしていただければ幸いである。 『Fallout 3』は、日本の RPG ファンにも多くの驚きを与えた超大作 RPG 『The Elder Scrolls IV: オブリビオン』 の制作チームによる、核戦争後の荒廃した未来世界を舞台とした RPG だ。 謎の失踪を遂げた父親を追い、主人公は生まれて初めて核シェルターの外へと足を踏み出すのだが――この時点で、何も外界の事情を知らない主人公とプレイヤーとが同化。FPS のような一人称視点で、異形のミュータントがうごめく道の地上世界を 1 つずつ探索していくことになる。 マップ規模、戦闘システム、会話分岐、イベント量ほか、あらゆる要素が膨大だが、それぞれどこまで深く関わるかはプレイヤー次第。自分にとって必要なこと、したいと思うことだけをつまんでいけばいい。父親捜しという当初の目的など早々に忘れて別のことに没頭しても、もちろん構わない。 事前の予習や予備知識は、いっさい必要なし。体ひとつで飛び込んで小一時間ほどプレイするころには、すっかりアナタだけのストーリーが始まっていること請け合いである。 『Fable® II』は一見、正統派のアクション RPG 。しかしその実体は、あらゆる場面でプレイヤー独自のアプローチが可能。そこで取った選択や行動が、よかれ悪しかれ、すべて自分自身に跳ね返ってくるという、とんでもなく因果応報な RPG である。 主人公には英雄の末裔の力が与えられているが、それをどう使うかは、とことん自由。当然のように、脱線への誘惑――愛を育むことでほとんどの住民と結婚できたり、気に入った建物を買いつけて家賃や不動産で稼いだりと、本筋そっちのけで寄り道人生を楽しめる要素は数え切れない。ファンタジーの本場イギリス発の美しい中世風の世界で、好きなだけもう1つの生活を楽しむことができるはずだ。 ちなみに、本作を指揮するピーター・モリニュー氏に過去、何度か取材させていただいたことがあるが、氏が思い描き、追求してきた理想のゲーム体験というものは、ここ十数年でほとんどブレていないように感じる。氏の話にたびたび出てくるキーフレーズは、「誰にでも楽しめて、プレイヤー独自の体験が得られるゲーム」。世界に名高いゲームデザイナーの 1 つの集大成というだけでも、本作をプレイする価値は十分にあるはずだ。また、Xbox LIVE につなぐことで、フレンドとの2人協力プレイが楽しめる点も強調しておきたい。
あ
らゆるメディアの作品と同じように、ゲームにも出会いの運というものがあるように思う。同じゲームに触れるとしても、どんな年齢で、どんな環境でプレイできるかといった「出会いかた」次第で、得られる体験や満足度はけっこう変わってくるはずだ。 近年、ゲームのカジュアル化なども流行の一面としてあるが、今回いくつかの Xbox 360 RPG をプレイし直してみて、あらためて「大作」ならではの豪華な気持ちよさ、楽しさというものを再確認した。 と同時に、新たな発見だったのは、大作をカジュアルに楽しむのもアリだということ。時間がないからという理由で何となく RPG を遠ざけている人、あるいは、しばらくゲーム自体から離れている 30 代や 40 代以上の元勇者にも、この機会に、「RPG はここまで来ている」という驚きを体験してみてほしい。 大作とか本格派といった響きに気後れする必要はない。1 日数十分のプレイで十分に、もう1つの世界への「旅」が楽しめる――それだけの遊びやすさと奥深さを備えた RPG が、すでに Xbox 360 にはそろっている。 願わくば、皆さんによい出会いがあることを!
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