——本作をローカライズしようと思ったきっかけを教えてください。 2007 年にスパイクさんより発売された The Elder Scrolls IV: オブリビオン (以下、オブリビオン) が予想以上に売れ、「日本でも、いわゆる日本式ではない RPG が受け入れられる土壌がある」と確信したからです。数年前までは、"FPS" で "ファンタジー" で、"海外産の RPG" が日本で数万本規模で売れるなんて、考えられませんでしたから。オブリビオン のヒットは、それくらいサプライズだったのです。もちろん、自社の看板タイトルだから、という理由もあります (笑)。 
——Fallout 3 の世界観はサイバーパンクですが、ファンタジーである オブリビオン と比較してプレイ感の違いはあるのでしょうか。 今回は核戦争後が舞台で、オブリビオン の世界と決定的に異なるのは "物資が不足している" という点です。たとえ武器が落ちていてもボロボロの状態で、弾薬も非常に少ないです。こんな状況なので、色々な場所をあさって物資を見つけ出す、という作業がどうしても必要になりますね。FPS のような速度でどんどん進んでいくと、物資不足で必ず行き詰まると思います。 Fallout 3 はサバイバルがテーマになっているため、全体的にシビアなバランスになっています。自分が生き延びるためには、何かを失わなければなりません。おもしろいのは、多くの事柄に、プラスの面とマイナスの面がセットになっていることですね。例えば水を飲むと体力を回復できますが、水は放射線で汚染されており、飲み続けると放射線が体内に蓄積されていき、やがて死に至ります。自分が行う行動に、どれだけプラスがあり、マイナスがあるのかを、常に考える必要があるのです。人生といっしょですよね。
——独自の戦闘システム "V.A.T.S." について、くわしく教えてください。 "V.A.T.S." とは、Vault-Tec Assisted Targeting System の略です。主人公は腕に "PYP-BOY 3000" という端末をつけているのですが、その機能の一部ですね。 敵と遭遇したときに V.A.T.S. 機能を使うと、その瞬間に時間が一時停止し、コマンド式の RPG のような画面に切り替わります。本作に登場するキャラクターは、頭や手足といった 6 つの部位に分けられるのですが、このとき各部位への命中率や部位の HP などが表示されるので、射撃する部位を選択するのです。命中率は、プレイヤーの能力や武器、部位の見えかた、敵との距離などで変化します。 どこを狙うかを選ぶたびに A.P. (アクションポイント) が消費されるので、A.P. が続く限り連続して射撃することができます。複数の敵と同時に戦っている場合は、たとえば敵 A に 1 発、敵 B に 3 発攻撃……というように攻撃を割り振ることも可能です。 狙う部位が決まったら、攻撃開始です。このとき、射撃は自動的に行われるため、プレイヤーは攻撃が当たるかどうかを見守ります。すべて撃ち終わったら V.A.T.S. が終了し、通常のシーンに戻ります。再び V.A.T.S. を使用するには、A.P. が回復するのを待たなければなりません。A.P. は時間と共に回復し、大体十数秒ぐらいで満タンになります。それまでは敵から逃げ回ってもいいし、オブリビオン のように FPS ライクに戦うこともできます。 V.A.T.S. を使う際、敵の弱点を狙うのはもちろんですが、たとえば敵の足を撃ち抜いて動きを止めたり、手を撃って武器を使えないようにし、そのスキに逃げる、なんて戦いかたも可能です。また V.A.T.S. で攻撃した場合、クリティカルヒットの発生確率が上昇し、ダメージが大きくなるといったメリットもあるので、使えば使うだけ戦闘は楽になりますね。 ちなみに V.A.T.S. の正式名称に含まれている Vault-Tec とは、ゲームに登場する超巨大企業のことです。核戦争が始まる直前まで、アメリカの軍需産業を支えていました。この企業は、端末である PIP-BOY 3000 や、主人公が最初に住んでいるシェルターなんかも作っています。PIP-BOY 3000 のスキルの解説に表示されるイラストは、Vault-Tec 社のマスコットキャラクターなんですよ。名前は Vault-Boy といいます。 
——ローカライズする際に気を使われたことや、苦労したことはありますか? 今回は、レーティングが発売ギリギリまで決まりませんでした。そこから察していただけると思うのですが、規制表現で特に苦心しましたね。 最初は CERO:D にしようと思っていたのですが、結構早い段階で「これは CERO:D は無理だ、CERO:Z になる」ということがわかりました。それならば、「CERO:Z の天井を探ってみよう、限界を目指してみよう」と思い、最後まで頑張りました。そのため、製品版は間違いなく発売禁止ギリギリのレベルになりました。最終的に、泣く泣く削った要素がいくつかあるのですが、これらを入れると CERO:Z の審査すら通らなくなってしまうので……。 特に Xbox 360 ユーザーの皆さんは、海外版との差をとても気にしておられるので、その想いになるべく応えられるよう、海外版に近づける最大限の努力をしました。日本語版でカットした要素については、すでに本作の公式サイトでアナウンスしていますが、もっとも大きいものは、あるクエストの "核爆弾で街を壊す" という行為ですね。これがどうしてもダメだ、と言われまして。結果的には、このクエストの解決方法の 1 つである、"核爆弾で街を壊す" という悪人側の選択肢をカットしました。それ以外は、人間の人体欠損表現のカットですね。ただし、モンスターやミュータントといった人間以外のキャラクターについては、海外版と同様です。もう、いかにオリジナルに近づけられるか、というせめぎあいでしたね。 それ以外に苦労したのは……、やはり膨大なボリュームのテキストを短期間で翻訳したことでしょうか。本作は、テキストがだいたい 5〜60 万ワード、ボイスファイルは約 5〜6 万ぐらいあるのですが、実際の翻訳作業、ボイス収録期間は 2 カ月もなかったので、実作業をしたスタッフは大変だったと思います。 それ以外の部分では、あまり苦労はなかったですね。実作業に関しては、日本でローカライズ作業を行なえた、というのが相当大きいです。以前はプログラムを海外で行っていたのですが、それに比べると大幅に楽になりましたし、時間も相当短縮できました。
——ということは、オブリビオン よりもボリュームはあるのでしょうか? 本作の舞台は、2277 年のワシントンD.C.。マップも広く、端から端まで敵に遭遇せずに歩けたとしても、10 〜 15 分ぐらいはかかります。マップが広いだけではなく、地下鉄の駅や建物ダンジョンなどが 100 カ所以上ありますので、移動できる場所は相当広いです。 ただ、オブリビオン はエンディング後も遊び続けることができましたが、今回はエンディングで一旦ゲームは終了します。また、レベルの上限も 20 と決まっているので、単純に比べるのは難しいですね。メインストーリーのみを追いかけるとしたら、一般のプレイヤーだと 30 時間前後でクリアーできるのではないでしょうか。ただし、クエストには複数の解決方法があり、またメインストーリーとは関係ないサブクエストも多数あるため、これらをすべて楽しもうと繰り返しプレイするならば、100 時間以上はかかると思います。
——オブリビオン であった "本" は、本作では登場するのですか? 今作では、本ではなく音声テープという形で登場します。本ほどではないですけど、結構数がありますよ。またいろいろな場所にあるコンピューターをハッキングできるのですが、そこでもメモや日記を見つけることができます。オブリビオン と同様に、ストーリーにまったく関係のない誰かの日記や会社のメモが多いですね (笑)。ゲーム進行には関係ないけれど、世界観に触れられるアイテムですよね。
——最後に、ファンの皆さんへメッセージをお願いします。 すでに海外では 470 万本を出荷した Fallout 3 が、12 月 4 日に登場します。今回はテキスト、音声ともに日本語にすることができましたので、とても快適にプレイすることができます。すべてを遊びつくそうと思ったら、発売日から遊んで……、きっとお正月が終わるぐらいまでは楽しめるのではないでしょうか。それくらいボリュームがある作品です。ぜひ遊んでください、よろしくお願いいたします!
Fallout 3 ゲーム概要 『The Elder Scrolls IV: オブリビオン』のスタッフが贈る、真の次世代 RPG が遂に日本上陸! 核戦争後の世界を舞台に繰り広げられるサバイバルワールドで、何を得て、何を失うか・・・全てはプレイヤーである貴方次第。世界中のゲームアワードを総なめにした究極の RPG を、是非体感してください。 ゲーム詳細情報はこちら |