――タイトル名になっている『Saints Row』にはどんな意味が込められているのでしょうか?
これは基本的に造語なのですが、このゲームの中で、主人公が加入するギャング団「サードストリートセインツ (3rd Street Saints)」が縄張りとしている地域のことを “Saints Row” と呼びます。サードストリートセインツは、古い教会をアジトにしていて、さまざまなギャングのグループが入り乱れている街に、秩序を取り戻そうという義賊的な考えを持っている集団。主人公は、あるきっかけでサードストリートセインツに入団することになり、いろいろな活動や任務を通して、物語の舞台となる架空の街、スティルウォーターでサードストリートセインツ勢力の拡大を目指します。ギャング団ですから、その活動はバイオレンス要素が強いものではあるのですが、手段はさておき (笑)、気持ちの面では「正義の心を持っている」という意味合いがこの『Saints Row』という言葉にはかなり込められているのだと思います。

――このゲームの魅力はどんなところにあると思われますか? 『Saints Row』を始め、こうした自由度の高い「クライム アクション」と呼ばれるようなジャンルは、いわゆる ”CERO Z レーティング (18 歳以上対象) ” である大人向けのゲームのまさに本道であり、本流なのではないかと思っています。この流れの中で、これまで数々の名作タイトルが登場していますが、『Saints Row』は Xbox 360 ならではのパワーや機能を活かして、それらをさらに進化させたものではないでしょうか。
このゲームでは、最終的にはスティルウォーターから、自分たち以外のギャングを全部排除していくというのが大きな目的にはなっていますが、そういった本筋のストーリーをたどるのとはまた別に、たくさんのアクティビティが用意されています。ステージをクリアしていって最後にボスを倒すという形態のゲームではないので、時間が空いた時に、ちょっとアクティビティで遊んでみるとか、車に乗って街を探索する……というような自分流の楽しみ方ができるところが魅力ですね。
オンラインマルチプレイに対応したというところも、かなり大きい要素の 1 つ。これは、『Saints Row』が、海外でミリオンセラーを達成した最たる理由の 1 つでもあると思っています。ただ、ご注意いただきたいのは、シングルプレイで作ったカスタマイズしたキャラクターを、そのままマルチプレイに持っていくことができないということ。マルチプレイでは、スタートはみんな横一線なんです。そこから、仲間と協力プレイでお金を貯めて、どんどんカスタマイズ要素を増やしていったり。対戦はもちろんですが、そのほかにもさまざまなゲームモードがあります。シングルプレイとも、今までのオンライン対戦ともまた違った楽しさを味わっていただけるはずです。
また、『Saints Row』では、かなり「プレイのしやすさ」に重点を置いた、ユーザー視点に立った設計がされています。たとえば、マップ中のナビゲーションシステムは、自分が目的地を設定すると、歩いていようと、車に乗っていようと、きちんとそこまでナビゲーションしてくれるというシステム。言葉で言ってしまうと、すごく地味な要素なんですが (笑)。同種類のゲームで、何回もマップを開いて確認していたにも関わらず、「あっ、道、間違えた!」という経験をしたことがある方は非常に多いのでは。そういった、これまでのゲームで感じていたストレスを軽減する仕組みがゲーム システムに盛り込まれています。細かいところなのですが、そうした「プレイのしやすさ」は、実はこのゲームでかなり気を使っている部分ですね。
――どんなアクティビティがあるのでしょうか? このゲームはバイオレンス的な要素が前面に出てきているものではあるのですが、暴力とは関係ない、ユニークなものも結構あるんですよ。たとえば、「保険金詐欺」のミッションがあるのですが、それは自分がいかにキレイに車に当たることができるか挑戦するもの。車に当たった瞬間にタイミングよくボタンを押すと、くるくると自分の身体が回転する。その回転数によってお金がどんどん加算されていくわけです (笑)。さらにいうと、高級車に当たれば当たるほど、また保険金の額も高いという……。他にも、VIP がリムジンの中で女の子といちゃいちゃするのを、パパラッチに捕まらないように逃げ切るというミッションもあります。ある程度パパラッチから逃げ切ると、そのリムジンが自分のものになったりもするので、自分の家にストックしていって、車を集めるという遊び方をすることもできます。
――キャラクターのカスタマイズ要素については、どのような特徴があるのでしょうか。 洋服や髪型だけでなく、体型や、顔の造作、人種まで、すべて自分の好きな通りに作ることができます。ゲームを始めると、最初に人種を設定するところがあります。白人タイプ、黒人タイプ、アジア系、ヒスパニック系という4パターンから選ぶのですが、主人公が入団する組織も含め、スティルウォーターには同じく 4 つのパターンのギャングがいるんです。白人至上主義的な考えの「ウェストサイドローラーズ」、ヒップホップのレーベルを持ち、潤沢な資金のあるリッチなブラック層の人たちからなる「バイスキングス」、ヒスパニック系で、マフィアとつながりのある昔ながらの「ロスカルナレス」。その中で、主人公が加入するそれらの勢力に対抗していく「サードストリートセインツ」は、色々な人種が混合しているチームです。こうした勢力分布や、人種の描かれ方には、現在のアメリカにおける人種の構図がバックグラウンドとして投影されているんです。 自分が実際にそれを意識してキャラクターをカスタマイズするかどうかは別なのですが、こうした背景を知っておくと、より違った楽しみ方ができるのではないかと思います。
――最後に、メッセージをどうぞ。 海外で発売された当初から、「日本版は出ないの?」という声をユーザーの皆さんからたくさんいただいていて、紆余曲折を経てようやくここで、日本語版を発売することができ、非常に嬉しく思っています。このゲームで展開されるのは、イリーガルで暴力的なものも含め、自分のしたいと思うことができる世界。しかしそれはあくまでも架空のものであって、きちんとそれを了解している大人こそが楽しめる、まさに大人のためのゲームです。それだけではなく、人種の問題等も含め、現在のアメリカの文化の側面をゲームとして非日常的に体感できるものでもあるので、ぜひ仲間と一緒に、この日本語版『Saints Row』を楽しんでいただけたらと思います。 |