――『トラスティベル ~ショパンの夢~』は音楽をテーマにしたこれまでにない新しい RPG だと思うのですが、発想の原点はどういったところにあったのでしょうか?
野口 : Xbox 360 を始め、いわゆる “次世代機” というくくりの中で、次世代と呼ばれるのにふさわしい RPG を作りたいという思いが我々にはありました。それで、トライクレッシェンドさんにお話をさせていただいた際、「実はこんな企画があるんです」と出されたのが『トラスティベル』だったんです。その時点で、すでにグラフィックのイメージやシナリオがあって、「これはすごい作品になるぞ」と直感しましたね。 初芝 : もともと、私たちトライクレッシェンドという会社は、”サウンド” を核として展開してきました。その一番得意な部分を、ゲーム本編のメインに据えて面白い作品ができないかな? というところが、このゲームの発想の原点でした。 このアイディア自体はかなり前から暖めていたもので、実は 2001 年の段階でシナリオの半分はすでにできていたんです。
――様々な音楽家がいる中で、”ショパン” を選ばれた理由は? 初芝 : ショパンは、39 歳の若さで夭折したという部分も含め、多くの音楽家の中でも、1 番ミステリアスな印象を受けました。また、やはり曲がどれもものすごく美しくて、私自身、非常に好きだというとこともありますね。シナリオを書くときも、ショパンの曲を聴きながらイメージを膨らませていきました。ショパンという人自身と、ショパンが作った音楽を、ゲームというメディアを通して多くの人に伝えられたらいいな、という想いでこの作品の世界観を作っていきました。
――ストーリーの中では、”命” が非常に重要なテーマとなっているようですが。 野口 : ショパンが死の 3 時間前、その病床でみた夢の物語というところが、本作の舞台としてあるわけですが、さらにその夢の世界で出会う “ポルカ” という女の子も、残り少ない命を生きています。人は誰しも、限られた命の中で生きています。でも普段はそんなことを全く意識しないで生活していますよね。もし、自分に残された時間があとわずかだとしたら、”命” って何なのだろう、自分には何ができるのか、本当に価値があることとは何だろう、ということを誰もが自分の内面に問いかけるんじゃないでしょうか。 そんな、「人が人として生きていくということは、どういうことなんだろう」と考えさせられるようなメッセージが、このゲームに登場する人物それぞれの立場や、語られるセリフのひとつひとつに散りばめられています。そこから、プレイヤーの皆さんに何かを感じていただければ嬉しく思います。 
――ゲームシステムの特徴的な部分をお教えください。 初芝 : バトルのときに、色々なコマンドを入力するのではなくて、とにかくワンボタンで簡単に必殺技が出るようなものがいいなと思っていたんです。今回、Xbox 360 でグラフィックの表現が格段にアップしたことで、細かい光と影の表現ができるようになり、じゃあそれを見た目だけに利用するんじゃなくて、もっとゲームシステムの中に組み入れた遊び方ができないかなと考えました。そこで生まれたのが、日陰と日向によって出せる必殺技が変わるという「光」と「闇」の概念です。その陰というのも、木や建物の陰はもちろん、キャラが作り出す陰も関係あるんです。しかもキャラは動き回りますよね。だから戦闘フィールドの陰の位置は2度と同じ形にはなりません。簡単な操作ながら、かなり戦略性のあるバトルが楽しめると思いますよ。 野口 : バトルシーンは、何度やっても本当に楽しいですよ。シナリオやビジュアルだけでなくバトルの面白さについても是非期待して欲しいです! そういったゲーム部分もしっかりやり込んでもらえる仕上がりになっていますから。 
――今回、ショパンの曲は、ピアニストのスタニスラフ・ブーニン氏が演奏されているそうですが。 初芝 : やはり、ショパンがテーマですし、私個人としても、是非ブーニンさんに弾いていただきたい、という思いがあったんです。ブーニンさんは世界的なピアニストなので、正直、引き受けていただけるか不安でしたが、スクリーンショットをお見せしたり、テーマを説明したりする中で、最終的に快く引き受けていただくことができて、すごく嬉しかったですね。 レコーディングには丸々二日かかりました。ゲームだから手を抜くということは一切なくて、音楽ディレクターが OK を出しても、ブーニンさん自身が「ダメ、気に入らない。もう 1 回」というふうに、とことん納得いくまでこだわって、最高の演奏をしてくださいました。 野口 : ショパンのどの曲が、どんなふうにストーリーの中でからんでくるのかはまだ秘密ですが、皆さんもきっと知っている有名な曲の名前が各章のタイトルに付いていて、それらのメッセージが物語の中に登場してきます。ショパンの曲は、BGM として使用していることはもちろんですが、それとは別にじっくりと聴ける場所を用意してありますので、ぜひ Xbox 360 の 5.1 ch サラウンドサウンドで楽しんでいただきたいですね。
――ユーザーの皆さんに、メッセージをどうぞ。 初芝 : 近年、若い世代の人たちの死生観が色々と問題視されていますよね。人の命には限りがあって、いつかはついえてしまうものです。その時間を、いかに大切に生きるかというのが、この作品の最大のテーマになっています。我々が作品に込めたメッセージがみなさんに届くといいなと思っています。 野口 : トレーラーなどをご覧いただいた皆さんは、「あ、これは泣けるゲームだぞ」って感じていらっしゃると思うのですが、その期待は裏切りません (笑)。でも、ただ「泣ける」というゲームではなくて、終わったあとに何かが自分の中に残る、そんな作品になっていると思います。また、ブーニンさん、ナレーションをご担当いただいた森本レオさん、平野綾さんを始めとする声優の皆さんなどキャストの皆さん、サウンドの桜庭統さんや、もちろん開発陣も、それぞれが全力投球して、非常に細部までこだわった渾身の一作になったと思います。ぜひご期待ください。 トラスティベル ~ショパンの夢~ 1849 年 10 月 16 日深夜、パリの中心部にあるヴァンドーム広場 12 番地のアパルトマンでピアノの詩人と呼ばれた音楽家“ショパン”は病の床に伏せながら、最期の夢をみる。 ショパンの意識は現実世界を離れ、おとぎ話に聞くような不思議な世界に足を踏み下ろした。そこでは現実世界と同じように、人々がありふれた日常を様々な感情を抱きながら、当たり前のように生きていた。 唯ひとつ違ったことは、夢の世界において不治の病に侵された者は、その副作用として魔法の力が宿ること。現実世界で病床にあるショパンもまた、魔法を使うことができた。夢の中でも、彼の体は病に蝕まれていたのだ。その皮肉もあって、ショパンは夢の世界を客観的に捉えていた。ここにあるものすべては、自分が作り出した幻に過ぎないのだと… だが、病に侵されながらも運命を受け入れ、懸命に生きようとするひとりの少女“ポルカ”がショパンの考えを少しずつ変化させて行く。誰もが心の中に持つとされ、綺麗な信じる心を反映して輝く「トラスティ」という宝石。この「トラスティ」の輝きが強すぎるため、少女はさらに過酷な運命へと誘われてゆくことになる。そんな運命に抗い、必死で彼女を救おうとする少年“アレグレット”。運命に従う少女と逆らう少年、そして夢と現実。 相反する 2 つの事象が絡み合うとき、運命の歯車は静かに逆転を始める―― ゲーム詳細情報はこちら |